生態系生態学ゼミ開催日時

生態系生態学ゼミは、原則として毎週水曜日16:00より、農学部総合館3階S385にて行っています。本年度は新型コロナウィルス拡大の影響で、オンライン上でセミナーを行っております。詳しくは、瀬木(農学部総合館S375)まで

・2019年度の発表

・2018年度の発表

・2017年度の発表

・2016年度の発表

・2015年度の発表

・2014年度の発表

・2013年度の発表

・2012年度の発表

・2011年度の発表       

2020年度生態系生態学ゼミスケジュール

2020-12-7
第16回 上阪 亮祐    
論文タイトル:
Litter quality, land-use history, and nitrogen deposition effects on topsoil conditions across European temperate deciduous forests
Maes et al. (2019)
Forest Ecology and Management



2020-11-30
第15回 佐々木 祐太    
論文タイトル:
Quantifying mammal biodiversity co-benefits in certified tropical forests
Sollmann et al. (2017)
Diversity and Distributions

熱帯林において、森林認証制度と哺乳類の多様性との関係性を量的に調査した論文。Tangkulap(TFR)、Deramakot(DFR)、 Segaliud Lokan(SLFR)の3つの商業森林保護区の写真データを使用して、コミュニティ占有モデリングにより、森林認証制度と哺乳類の多様性保全のコベネフィットを定量化している。また、2006年から2008年の間に収集された衛星データを用いて調査地域の地上バイオマス量(AGB)を推定し、調査地域の種の豊かさとの相関も調べている。観察された28種の占有面積割合は、保護区間で異なっていた。また、調査地域の北/北西の境界など一部を除き、AGBは種の豊富さと相関していた。それを踏まえ、広範囲に移動する哺乳類に対して、森林認証制度が一概にその多様性を保全するわけではないことが議論されており興味深かった。発表時には、実は動物の多様性は多少の伐採等によってはあまり影響を受けない、などの生物多様性に置いて自分が知らない知識を共有してもらい、非常に勉強になった。

2020-11-16
第14回 姜 琳子   
論文タイトル:
Relationships between nitrogen cycling microbial community abundance and composition reveal the indirect effect of soil pH on oak decline
Scarlett et al. (2020)
The ISME Journal

Complex interactions between fluctuations in nitrogen (N) and acidifying compounds have been proposed as factors causing nutrient imbalances and decreasing stress tolerance of oak trees, and microbes are crucial in regulating soil N available to plants. This research combined high-throughput sequencing and qPCR analysis of key nitrification and denitrification genes with soil chemical analyses to characterize AOB, AOA and denitrifying communities in soils associated with symptomatic and asymptomatic oak trees in the United Kingdom. Although quite interesting result were shown in this reserch, the study plots have very different soil properties was repeatedly mentioned in seminar. This kind of difference may directly impact results of microbes. Therefore, the interference caused by other variables still needs to be eliminated before it can be discussed. It also reminds us that we should try our best to reduce this kind of mistake in our research.

2020-11-9
第13回 瀬木 晶帆   
論文タイトル:
Effects of canopy microclimate on fruit yield and quality of Camellia oleifera
Wen et al. (2017)
Scientia Horticulturae

中国南部で栽培されているユチャを対象に、樹冠形状による果実の質の違いを明らかにした論文である。「樹形で果実の質が変わる」というのが面白く、この論文を選んだ。樹冠内の微気候要因(気温、相対湿度、光強度)や果実のパラメータを測定し、それらの関係を線形モデルで回帰式として表している。
ユチャは広い地域で栽培されてはいるが管理が行き届いておらず、生産量を上げるために適切な樹形を保つことが重要だと著者は述べている。それに伴い、本論文は「果実の生産効率を上げる」という実用的な面を重視しているように感じた。同じ著者の論文で、「ユチャの生育に適した樹形はどちらか」という論文があり、樹形というテーマにより主眼を置くならば、そちらの方が適していたかもしれない。ただ、深刻な問題であるユチャの生産量低下に対し、比較的簡単な分析方法で改善案を探っていく姿勢はとても興味深いと感じた。

2020-10-26
第12回 野口 幹仁    
論文タイトル:
Successional trajectory of bacterial communities in soil are shaped by plant-driven changes during secondary succession
Krishna et al. (2020)
Scientific Reports

二次遷移において遷移初期種であるAlunus nepalensis(ハンノキ)が土壌細菌群集の変化と遷移後期種との関係において担う役割について調査した論文。成長段階の異なるハンノキの群落間での土壌細菌群集の組成と細菌間での共起関係、また、細菌群集の組成と土壌栄養の関係について調べている。また、ハンノキと遷移後期種であるQuercus leucotrichophora(カシ)が共存した群落を対象にハンノキが遷移後期種に与える影響についても調べている。
Alderによって土壌有機物やその他の栄養が供給されることで細菌の多様性が増え、群集構造が変化していることが示された。その間で、攪乱に適応した細菌の優占する群集から栄養を多く必要とするが系にさらなる養分を供給する細菌に富んだ群集に変化していくという二次遷移における植物―土壌細菌群集のフィードバックの議論が興味深かった。
この論文ではこのフィードバックの植物側にも正の影響を与えることを示唆する先駆的な興味深いデータも提示されており、土壌細菌だけでなく植物群落に目を向けることの重要性を再認識することができた。

2020-10-19
第11回 水上 知佳    
論文タイトル:
Long-term nitrogen loading alleviates phosphorus limitation in terrestrial ecosystems
Chen et al. (2020)
Global Change Biology

陸上生態系において、長期的な窒素負荷がリン制限を緩和することをメタ解析で調べた論文。化石燃料の燃焼や化学肥料によって、近年増加する陸上生態系への窒素加入は植物と微生物のリン制限を引き起こすと考えられているが、長期の窒素負荷ではリン制限が起きなかったという、相反する結果も報告されている。これにより、長期に及ぶ窒素負荷はリン制限を緩和するという仮説を立て、メタ解析を用いて窒素負荷が引き起こす土壌フォスファターゼ活性の応答を調べている。結果として、窒素負荷が土壌フォスファターゼ活性に与える影響を最もよく説明するのは窒素負荷の継続期間であり、長期間の窒素負荷は土壌フォスファターゼ活性を増加させないことが明らかになった。考察では長期間にわたる窒素負荷は土壌のリン制限を緩和させるメカニズムが、植物群集や微生物など複数の観点から述べられていた。
セミナーでは、考察のメカニズムについての議論が活発に行われた。今後、気候変動や人為的な影響によって変化する環境の生産モデルなどを考える上で、植物や微生物の獲得戦略を考慮してモデルを組み立てていくことは非常に重要だと感じた。

2020-07-13
第10回 佐々木 真優    
論文タイトル:
Contrasting conifer species productivity in relation to soil carbon, nitrogen and phosphorus stoichiometry of British Columbia perhumid rainforests
Kranabetter et al. (2020)
Biogeosciences

カナダのバンクーバー島において針葉樹の生産性と土壌のストイキオメトリーの関係を調べた論文。密度を変えて針葉樹が植栽された試験地で、土壌の炭素(C)・窒素(N)・リン(P, 全リンおよび有機態リンPo)の濃度やモル比を比較し、土壌の栄養状態や森林の生産性に対して説明力を持つかを評価している。調査地は豊富な降水量などにより無機態リン(Pi)が少ないという特徴がみられた。論文中のC:Po比は非常に高い値であったが、これはPの不動化が起こっていることを示し、このサイトではNとP、もしくはP単独によって制限されていると考えられる。線形混合効果モデルによる解析の結果、森林の生産性を最もよく説明する要因はC:N比とPi濃度であった。セミナーでは、生産性の指標として樹木の胸高断面積合計が用いられていることの妥当性についての議論があった。また、考察などでPの重要性が強調されている印象があったが、示されているデータはPよりNに関するものの方が多く、もう少しPのデータがほしいという指摘があった。Pの動態や樹木への可給性などがさらに解明されることで、この地域の森林での樹木と土壌の相互関係がより明らかになると考えられる。

2020-07-06
第9回 木子 雅水    
論文タイトル:
Structure, spatial dynamics, and stability of novel seed dispersal mutualistic networks in Hawai'i
Jeferson Vizentin-Bugoni et al. (2019)
Science

種子散布に関与する種の大部分が移入種に置き換わってしまっているハワイのオアフ島において、植物種と散布者である鳥類種の種間相互関係の構造や安定性について調べた論文です。
種子散布をはじめとする植物-動物間の相互作用は長い進化史の中で一部共進化的に形成され、複雑な構造を持つと考えられてきました。しかし、長くても100年程度の歴史しか持たないオアフ島の新規群集においても、在来種優占の群集において見られる種子散布ネットワークと似た構造と安定性を持つネットワークが見られることがわかったという点がこの研究での一番興味深いところであると思います。
また、オアフ島ではすでにすべての在来果実食鳥類が絶滅していると言われています。実際に本研究においても少数の移入鳥類が散布の大部分を占めており、在来植物の散布者がすべて移入鳥類に置き換わっていることが判明しました。しかし、一方で移入鳥類が散布するのは大半が移入植物であり、在来植物の種子はあまり散布されていないということもわかりました。この結果も個人的には外来生物の功罪を示す興味深い結果であると思いました。

2020-06-29
第8回 延澤 真実     
論文タイトル:
Defaunation of large-bodied frugivores reduces carbon storage in a tropical forest of southeast Asia
Wirong Chanthorn et al. (2019)
Scientific Reports

近年世界各国で野生動物の個体数減少が深刻化している。このことは本来動物に分散される植物の種子散布にも悪影響を与えると考えられており、それらの植物が育たなくなることにより地上部バイオマス量が減少するのではないかと懸念されている。
東南アジアの熱帯林では、風散布型のフタバガキ科が優占しているため、動物散布型の植物が減ってもバイオマス量は大して減少しないのではないかと考えられてきた。しかし東南アジアの全ての森林にフタバガキがたくさん分布しているわけではなく、この説の一般性には疑問が残る。そこで本研究では、フタバガキが比較的少ないタイの森林において大型果実食動物が減少した場合、バイオマス量がどのように変化するか検証を行なっている。
研究の結果、タイの森林では大型果実食動物の減少が地上部バイオマス量をかなり低下される可能性があると分かった。この結果はこれまでの定説を覆すものとなっており、非常に興味深いと思った。このことをふまえ、東南アジアにおける生態系管理をもっと慎重に行っていくべきではないかと感じた。

2020-06-17
第7回 葉 雲翰   
論文タイトル:
Functional Trait Variation Among and Within Species and Plant Functional Types in Mountainous Mediterranean Forests
Nikolaos M. Fyllas et al. (2020)
Frontiers in Plant Science

地中海性気候に生育する樹木の葉の形質の関係を常緑針葉樹Ne、常緑広葉樹Be、落葉広葉樹Bdの三つの機能タイプ(Plant Fanctional Types PFT)に分けてそれぞれ解析した論文です。植物全体の経済性を表す一連の形質の多変量解析は、LHS(Leaf-Height-Seed)フレームワーク(Westoby、1998年)によって提案されている3つの独立した軸の存在が支持された。しかし、PFTでそれぞれ分けて形質の共変動や多変量解析を行ったところ、PFT間でそれぞれ異なる2形質間の関係と異なるの次元が明らかになった。これは各PFT内で樹木が形質の最適化をそれぞれ別々の方法で行っている可能性があることを示唆していると思われる(Wyka et al。、2012)。また、形質によって、それらの変動性を起因する要因が異なり、いくつかの形質(葉面積、面積当たりの葉重)などは系統的な要因により形質の値が変化し、またいくつかの形質(呼吸速度やカリウム濃度)は環境的な要因によって変化することが明らかになり、乾燥状態がより保守的な形質につながる可能性があることも示唆された。この研究により、PFTや局所的な環境条件が形質の値や形質同士の相互関係により重要な影響を及ぼすことが示唆された。形質ベースで森林動態モデリングするときは地球規模での植物の形質の関係性が解析は注意が必要で、より地域的で局所的なデータで解析する必要になってくると主張されています。
内容も多くデータも膨大で、説明するのも理解するのもかなり苦労しましたが、その分議論も白熱して、特にLHS Leaf-Height-Seed(LHS)フレームワークの考え方について活発な議論が繰り広げ、樹木の形質に関する研究の知見を深めることができたと思う。

2020-06-10
第6回 池田 友樹    
論文タイトル:
Mechanical properties of Japanese black pine (Pinus thunbergii Parl.) planted on coastal sand dunes: resistance to uprooting and stem breakage by tunami
Kazuki Nanko et al. (2019)
Wood Science and Technology

樹木の形態は、系統的要因、光環境要因、力学的要因などが複雑に絡み合って最適化されていると目される。私はその中でも力学的な視点に基づいて樹形を捉えるアプローチをしており、特に幹の力学特性をどのように計測するのかということに興味があり、今回の論文を選定した。
本論文は、幹の根返り耐性、幹折れ耐性の実測を通じて、津波に対するシミュレーションをするという、応用的な研究内容であった。計算式も多く記載的な内容なので、材料力学に馴染みのない人にはハードルが高く、生態学的な意義というよりも防災面での実利性に重きが置かれている印象ではあった。そういう意味では、生態系生態学の紹介論文として、必ずしもベストな選定とは言えなかったかもしれない。しかし、風を受け流すためには樹木はどのような形状をとるのがよいのだろうか?土壌の基盤が弱いところではどのように根を張ればいいのだろうか?といった、樹木の個体の形態に対するまなざしをより磨くことができた。そういった、直感的で素朴な樹木の形状の必然性へのまなざしは、例えば、物理法則の制約の中でいかに樹木が光獲得量を多くするか?という、生態学的な視点を養うことにも資すると確信する。

2020-06-03
第5回 秦  倩凝   
論文タイトル:
Predicting ecosystem dynamics at regional scales: an evaluation of a terrestrial biosphere model for the forests of northeastern North America
David Medvigy and Paul R. Moorcroft (2012)
Philosophical Transactions of The Royal Society

陸上生態系における炭素循環を再現し、特に地球的規模の変化によるバイオマスの長期間変動を予測するためのモデルED 2 (Ecosystem Demography version 2)は、今でも様々な地域で用いられている。メカニズム視点から構築されたベイズモデルED 2は、“格子―層”の仕組みで気象データと植生・土壌データを合わせて、アメリカ北東Harvard Forest地域レベルの植生タイプ・バイオマス量を予測することができた。Flux Towerによる実測データを参照し関数調整を行う結果、予測精度が上げられ、長期間変動を正しく取らうための手段としては適用だと考えられる。メカニズム面から生態系変動を理解・予測する代表的なモデルとして、ED 2が用いたデータの組み合わせ方法と統計学的手法は生態系予測に関しては啓発的なものだと考えられる。

2020-05-27
第4回 竹重 龍一  
論文タイトル:
Demographic trade-offs predict tropical forest dynamics
Nadja Ruger et al. (2020)
Science

熱帯林の一見非常に複雑に見える樹木群集動態が、実はかなりシンプルな要因だけである程度理解できると主張した論文です。具体的には、2つのトレードオフ軸(Fast-Slow, Stature-Recruitment)と5つの植物機能群(Fast, Intermediate, Slow, Long lived pioneer, Shortlived breeder)でパナマBCIの群集動態の65%が説明できると主張した筆者らの過去の研究内容に対し、PPAモデル(Perfect Plasticity Approximation)という森林動態モデルと組み合わせると、原生林内の局所的な森林撹乱に伴うBA(胸高断面積合計)やAGB(地上部バイオマス)の変化及び、二次遷移過程についても予測が出来るとしたものです。最初結果を見たとき、そのシンプルさに驚き感動したためこの論文を選択しました。 
セミナー中も活発な意見交換が行われました。特に、筆者らが重要性を強調したLLP(長寿命パイオニア)については解釈に注意が必要であるという意見が出ました。当研究室ではアジアの熱帯で森林動態の調査を行っていますが、アジアの熱帯では新熱帯に比べると樹高が高く、アジアの熱帯において遷移後期に優占するフタバガキが本研究の解釈だとLLPに分類されてしまうことになり、アジアの熱帯ではこのような植物機能群での分類は出来ないのではないかという意見です。新熱帯と旧熱帯では森林の垂直構造が大きく異なります。今後は新熱帯だけではなく、旧熱帯、さらには乾燥林など、様々なところで同様な研究が行われ、熱帯林の動態をより一般的に理解できるようになれば、生態学的なブレイクスルーが起きるのではないかという予感をこの論文から感じました。

2020-05-20
第3回 多賀 洋輝
論文タイトル:
Nitrogen and phosphorus retranslocation of leaves and stemwood in a mature Eucalyptus forest exposed to five years of elevated CO2
Crous et al. (2019)
Frontiers in Plant Science


2020-05-13
第2回 小林 慧人  
論文タイトル:
A 7000-year history of changing plant trait composition in an Amazonian landscape; the role of humans and climate
van der Sande et al. (2019)
Ecology letters

1000年オーダーという長期的な森林動態(機能形質の構成の変化)とその変動要因(気候要因・人為要因)を明らかにすることは、将来予測をする上でも重要なテーマですが、これまで研究が困難とされてきました。本研究では、長期的な森林の機能的な変化(機能形質の構成の変化)の要因を定量的に評価できる新しい方法を提案しました。 実際に、ペルーのあるアマゾン熱帯季節林における7000年のデータを用いて解析した事例を紹介しています。機能形質データは、ボーリング・コアサンプルから得られる花粉データと既存の形質データベースから、過去7000年の形質構成の変化を、分類群レベル・群集平均レベルで算出しました。環境要因は、コアサンプルから人間活動由来と考えられる火災・土壌侵食の程度、また鍾乳洞の石筍サンプルから気候由来と考えられる降水量を指標するデータをそれぞれ抽出しました。これらの時系列データを用いて、形質構成の変化に影響を及ぼす3要因を解析した結果、気候要因よりも人為要因が、形質構成に (分類群レベルよりも群集レベルで) 影響を及ぼしていたことがわかりました。 考えている時間スケールの長さ・研究の着眼点と実行力に驚き、この論文を紹介しました。これまで花粉分析でよく行われている分類群別の変動に着目するのではなく、群集としての変化に着目することで、長期的な森林動態の理解が進む、というメッセージに、この論文の魅力があったと思いました。

2020-04-22
第1回 甘田 岳 
論文タイトル:
Leaf drought tolerance cannot be inferred from classic leaf traits in a tropical rainforest
Marechaux et al. (2020)
Journal of Ecology

陸上植物の生存戦略において重要な要素の一つである葉の乾燥ストレス耐性(膨圧ゼロの時の水ポテンシャル: πtls)を、他の機能形質から推定可能かどうかを検証した論文。ギアナの熱帯雨林においてLMAを始めとした多様な葉形質を測定し、統計学的手法によってπtlsの推定を試みている。主成分分析より、機能形質の値のばらつきは多次元的で、一次元的なトレードオフの関係では説明できないことが示唆された。また重回帰分析によって他の機能形質からπtlsの推定モデルを作成したが、予測精度は低く、一集団内でさえもモデルの一般性は低かった。 グローバルスケールでの環境変動モデルの作成が求められる中で、乾燥耐性のような重要な形質を推定していくことは重要と考えられる。しかし、生態学において好んで用いられる統計学的推定では、乾燥耐性を十分な精度で一般性が高い推定できないことが本論文から明らかとなった。今後、トップダウン的な統計学的手法だけでなく、統計では見逃されていたメカニズムを剛健な物理化学的理論に基づいたボトムアップ的研究によって解明していくことが、生態系の理解や形質の推定に重要な役割を果たすと考えられる。