私たちは持続的森林管理が導入された熱帯林により積極的な価値付けを与えるための研究を行っています。それが、「生物多様性の可視化」です。現在の森林認証制度では、木材だけが認証されます。これに対して、木材を含んだ、生態系サービス全体を認証すれば、より大きな経済的利益が持続的森林管理の現場にもたらされるのではないかと、私たちは考えています。森林生態系がもたらす生態系サービスが人類の生存にとって不可欠である、ことは広く認識されています。しかし、生態系サービスの定量化ができない限り、私たちは生態系サービスに具体的な価値を与えることはできません。そこで、私たちは森林生態系の生物多様性を可視化する技術の開発を進めています。これは、生物多様性こそ生態系の健全性、ひいては生態系サービスの指標になるという考えに基づいています。つまり、生物多様性が健全であると、森林の生態系サービスも持続的に、そしてより確実に得られるという考え方です。


私達の「生物多様性の可視化」手法を使うと、木材生産を行っている熱帯林において、木材生産に伴って生物多様性がどのように変化するのかを広域評価することができます。もし、木材を生産していても、生物多様性が維持されている、あるいは改善傾向にあることが示せれば、その森林管理者は何らかの経済的支援を受けるべきです。それを可能にするのが「生態系サービスへの支払い制度(Payment for ecosystem services)」です。しかし、生態系サービスへの支払い制度も、生物多様性や生態系サービスが定量的に評価されない限り、成り立ちません。それを可能にするのが私たちの研究です。生態系サービスへの支払い制度が実現すれば、木材生産と生物多様性の保全の両立が広まるのではないかと期待されています。

私達が開発している「生物多様性の可視化」技術は、東京都の大きさ(あるいはその半分)程度の熱帯林(生産林)を対象とし、生物多様性を樹木種の構成比率に基づいて指数化し、算出した指数を全域においてデジタル地図として示すものです。現在、環境省の環境研究総合推進費の支援を受けて、実装に向けた研究を展開しています(プロジェクト課題番号 1-1403)