satellite image analysisマレーシア・サバ州政府が立ち上げている国立公園連結(Ecological Linkage)プロジェクトに京都大学森林生態学研究室の研究チームが携わっています。私たちの役割は、対象地域に広がる焼畑二次林の分布やその遷移を明らかにすることです。公園を連結させるためには、ここに土地を所有し、合法的に焼畑を行っている原住民の方々の同意や参加が必要不可欠です。これらの方々から土地を取り上げることなく、焼畑を継続させながら実質的に森林を連結させるのが、このプロジェクトの狙いです。焼畑の周期を延長させることで、森林回復と焼畑における稲作の同時達成が可能ではないかと考えられています。しかしそこに科学的な根拠はありません。そこで、私たちがプロジェクトに参加し、焼畑の周期と森林回復の速度の関係について、生態学的な根拠に基づく予測を行っています。焼畑の周期を延長すれば、森林面積は増えますが、稲の収量は減少します。その収量減少を、森林回復によって新たに蓄積される炭素の経済価値に基づき補うことが可能です。これが、REDD+(Reduction of Emission from Deforestation and forest Degradation+)の制度です。私たちが熱帯林連結に関して科学的な予測を提供することは、REDD+導入の実現に向けて大きく貢献すると期待されています。

私たちの研究アプローチ

satellite image analysis放棄年数の経過に伴った焼畑二次林の群集組成 の遷移と炭素蓄積量を調査し、焼畑二次林の生態学モデルを構築します。そのモデルを地理情報システム(GIS)解析へ応用し、連結させる地域一帯の二次林分布を把握するとともに、焼畑周期の延長などの様々なシナリオを想定した森林発達の予測システムを構築します。また、焼畑二次林における野生動物の移動状況を観察し、焼畑二次林の緑の回廊としての役割を評価します。これらの調査研究から、焼畑二次林の発達がもたらす生物多様性維持および炭素蓄積に対する科学的な効果を提言していきます。





用語説明

  • 焼畑二次林・・・焼畑農業を行っている土地において耕作放棄後に成立する森林
  • REDD+(Reduction of Emission from Deforestation and forest Degradation+)・・・開発途上国が森林減少・劣化の抑制や森林保全により、温室効果ガス排出量を減少させた際あるいは森林の炭素蓄積量を維持・増大させた際に、その排出削減量あるいは維持・増大した炭素蓄積量に応じて、先進国が途上国へ経済的支援(資金支援等)を行うという取り組み
  • 群集組成・・・ある一定地域に生息する種の構成
  • 地理情報システム(GIS)・・・地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術
  • 緑の回廊・・・森林生態系の主要な構成者である野生動植物の多様性の保全のために、その移動経路を確保し生息・生育地の拡大と交流を図ることを目的として、森林生態系保護地域などの保護林どうしをつなぐために設定した回廊